【2025年版】観光DX補助金(販路拡大・収益向上型)とは?対象者・申請方法・補助内容を行政書士が解説

補助金

観光DX補助金(正式名称:令和7年度「全国の観光地・観光産業における観光DX推進事業」)は、観光庁が実施する補助制度です。急回復する観光需要を背景に、デジタルツールの導入支援を通じて「稼げる観光地域・産業」を創出することを目的としています。

2025年度の観光DX補助金は、3つの類型で公募されていますが、本記事では、宿泊・観光事業者の申請対象となる以下の2類型に絞ってご紹介します。

  • (1) 観光地の販路拡大・マーケティング強化型
  • (2) 観光産業の収益・生産性向上型

※もう1つの「専門人材による伴走支援型」は、別途の公募要領に基づき実施されます。

本稿では、旅館・ホテル経営者の皆様に向けて、最新の公募要領(第2版・2025年5月15日)を踏まえた制度概要や申請要件、申請手続きのポイントを整理します。

観光地の販路拡大・マーケティング強化型

対象者(計画申請主体):地方自治体、観光地域づくり法人(DMO)、観光協会等、観光事業者など。

これらが補助事業の企画・実施主体として申請します。申請には、地域一体での取り組みであることが求められます。市区町村単位にとらわれず、地方公共団体・DMO・観光協会・宿泊事業者など複数の地域関係者が連携し、消費拡大・誘客・再来訪促進につながる事業である必要があります。

補助対象事業例

  • 地域共同のWEB予約サイト構築
  • 多言語観光情報発信ツール
  • デジタルマップやクーポン配布システム
  • CRM/DMPによるデータ基盤構築
  • デジタルチケットやスマホ決済対応機器
    ※いずれも予約・決済機能の完結、既存システムとの連携機能など、要件あり。

要件・注意点

  • データ活用ビジョン:誰がどのようなデータを、どの場面で活用するかを明示した具体的なビジョンが必要。
  • 複数事業者の連携:観光協会やDMOが主導する場合、複数の観光事業者の協力体制が必要。
  • 反社排除:補助事業者に反社会的勢力が含まれていないこと。

観光産業の収益・生産性向上型

対象者(補助対象事業者):旅館業法に基づく営業許可を有する宿泊事業者(旅館、ホテル等)が申請主体です。
※住宅宿泊事業(いわゆる民泊)や成人向け風俗営業は対象外です。

宿泊施設の所有者と運営者が異なる場合でも、運営委託契約等により関係があれば申請可能です。その場合でも、所有者または運営者のいずれかが旅館業許可を保有していることが条件です。

補助対象事業例

  • PMS(宿泊予約管理システム)
  • レベニューマネジメントツール
  • 清掃管理システム、自動チェックイン機
  • スマートロック・カードキー
  • エネルギー管理システム(EMS)やIoT機器
  • AIチャットボット・需要予測ツール など

要件・注意点

  • 許可証の提出:有効な旅館業許可証(写し)の提出が必要。
  • 高付加価値化登録制度:登録済み、または登録申請中であること。申請中の場合は、完了報告までに登録を完了させ、登録番号の報告が必要。
  • 事業計画の具体性:導入ツールを活用し、誰がどのデータをどう活用するのかを具体的に記載する必要があります。
  • 複数施設の連携:単独申請も可能ですが、地域内・グループ内での連携がある場合は、評価上有利になります。

補助金額・補助率・対象経費

補助金額・補助率:対象経費の1/2以内、補助上限は1,500万円。最低補助金額は設定されていません。

補助対象経費

  • ソフトウェア・クラウドサービス・ハードウェア等の導入費
  • システム利用料(PMS、CRM、予約管理システム等)
  • 機器購入・レンタル費用(タブレット、スマートロックなど)
  • 導入支援費用(設定、研修、マニュアル)
  • システム連携開発の外注費 など
    ※サブスクリプション型は最大2年分まで補助対象になる場合あり。

補助対象外経費

  • 汎用的な事務機器(一般PC・スマホ等)
  • 広告宣伝費(チラシ・SNS広告など)
  • 通信費・電気代などの間接経費
  • 単なるWebサイト制作(予約・決済機能なし)
  • 自社社員の人件費
  • 交付決定前や事業完了後に発生した経費

審査の観点と加点要素

審査では、単なるIT導入ではなく、DXによる地域波及効果や自走性、計画の具体性と実現可能性が評価されます。

特に次のような点が加点要素です。

  • 地域連携:地方自治体・DMO・複数の事業者が連携してDXを推進
  • データ活用:PMS・CRM・DMP等を使ってサービスの最適化を目指す事業
  • 明確なKPI設定:定量的なKPIを設定し、成果を測定できること

提出書類と申請手順

参加申込(事前登録)

  • 特設ウェブサイトでアカウント登録
  • 受付期間:2025年5月15日(木)13:00~6月3日(火)17:00
    ※ただし5月15日13:00までに計画申請を行う場合、事前登録は不要

計画申請(事業計画提出)

  • 提出期間:2025年4月16日(水)~6月6日(金)17:00
  • 提出方法:電子申請システム上のフォーム入力(4/16~5/15 13:00まではメール提出も可)

主な提出書類(類型によって異なる)

  • 【様式1】事業計画書(電子申請フォームで入力)
  • 経費内訳書・相見積書(2社以上推奨)
  • 組織図・体制表・スケジュール表
  • 登記簿謄本、財務諸表、宿泊許可証(収益向上型)
  • 所有者・運営者の契約証明(該当時)
  • 導入ツールのカタログ・仕様書など
  • 高付加価値登録制度関連の証明書類(該当時)

※書類に不備や虚偽があると無効。内容は公開される可能性もあるため正確に。

採択後の流れ

  • 審査・採択通知:締切後1〜2ヶ月程度で通知
  • 交付申請:採択通知後1ヶ月以内に実施計画書などを提出
  • 事業開始:交付決定後に着手(採択後すぐの契約・発注は不可)
  • 完了報告:2025年12月19日(金)までに実施報告と証憑提出
  • 補助金請求:交付額確定後、2026年2月6日(金)までに請求書提出

まとめ

2025年度の観光DX補助金では、地域全体を巻き込んだDXプロジェクトや、宿泊事業者によるIT活用と収益改善が重視されています。

採択されるためには、公募要領に沿って具体的な計画を立て、必要書類を漏れなく整えることが重要です。

旅館・ホテル経営者の方は、PMSやスマートロックの導入計画を明確にし、高付加価値経営旅館等登録制度への対応も忘れずに進めましょう。

申請には専門的な知識が求められる場合もありますので、不明点があれば行政書士などの専門家への相談も検討してください。

行政書士藤原七海事務所では、補助金の申請サポート・無料相談を承っております。補助金申請に関するご相談は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。

加えて当事務所では、より高品質なサービスを提供すべく 提携先の行政書士とともに、単独受任時と変わらない報酬での共同受任にも応じています。
提携先事務所:crenlylaw.com


代表挨拶

藤原七海

行政書士藤原七海事務所の藤原です。
当事務所では補助金申請のサポートに力をいれております。
補助金申請のお手続きに何かお困りごとがある方はお気軽にご相談ください。

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