はじめに|当事務所による支援事例
2025年5月、当事務所と行政書士事務所Crenly(crenlylaw.com)で共同支援させていただいた、freee会計のパートナー事業者様のIT導入支援事業者(ベンダー)登録およびITツール登録が完了しました。
受任から2営業日で、機能説明資料・価格説明資料・インボイス説明資料をPDFにて納品。電子申請画面での入力ミスを防ぐため、特に間違えやすい項目をまとめたエクセル形式の解説資料も提供し、速やかな採択を支援させていただきました。
登録作業には“つまずきポイント”も多い
freeeパートナーとして活動している方にとって、IT導入補助金の「ベンダー登録」や「ツール登録」は初めての取り組みというケースが少なくありません。そのため、以下のような点でつまずくケースが多く見られます。
- gBizIDプライムの取得に想定以上の時間がかかる
- IT導入支援事業者ポータルの操作に慣れていない
- 機能説明資料・価格説明資料の要件が複雑で何を記載すべきかわからない
- freee会計のどのプランをどのようにツール登録すればよいか判断に迷う
特に、機能説明資料では、プロセス要件・業務フロー・画面キャプチャなどを正確に整理して伝える必要があるため、相応の制度面・技術面の理解と、フロー図等の作成経験がないと、行き詰まることもあります。
また、ITツール登録申請は一度で通るとは限らず、事務局からの差戻しや修正依頼が頻繁に発生するのも現実です。対応が遅れると、申請のタイミングを逸してしまう可能性もあるため、事前準備とスムーズな対応が重要になります。
こうした課題があるからこそ、専門知識を持つ支援者の伴走が大きな差となります。ベンダー登録を「確実かつ早く」終えたい方にこそ、外部支援の活用をおすすめします。
当事務所では、行政書士であり国家資格「応用情報技術者」を保有し、IT領域でコンサル経験の豊富な代表が、技術的理解と制度対応力を活かし、スピーディーかつ的確に登録支援を行っています。安心してお任せください。
以下では、freee会計のパートナー制度の基本から、ベンダー登録・ITツール登録の具体的な流れ、そして案件化のチャンスまで詳しくご紹介します。
freee会計のパートナー制度とは? ITベンダーに何ができるのか
freee株式会社が提供するパートナープログラムは、freee製品の販売や導入支援を行う事業者を認定し、事業成長を後押しする制度です。ITベンダーとしてこの制度に参加することで、以下のような活動が可能になります。
- 販売代理・再販による収益化:自社の顧客に対してクラウド会計ソフトfreee会計などの製品を提案・契約し、ライセンス販売額に応じた手数料収入を得られます。また、再販パートナー(VAR)であればfreeeから製品を卸値で仕入れ、自社サービスとセット販売することで付加価値をつけることも可能です。
- 公式認定による信頼性向上:freee認定パートナーとして公式サイトのパートナー一覧に掲載され、ユーザー企業からの認知度・信頼性が高まります(※2025年現在、一時的に新規募集は停止中ですが、既存パートナーの情報は公開されています)。
- freee社からの手厚い支援:パートナー向けに各種学習コンテンツや研修が提供され、新機能やバックオフィス知識を学べます。さらに、商談への同行(OJT)や専用サポート窓口、定期ミーティングなど、事業立ち上げ初期から継続的な支援が用意されています。freee社員と共同プロモーションを実施する機会もあり、パートナー自身の営業力強化につなげることができます。
以上のように、freeeパートナー制度に参画することで製品知識・販売支援を受けながら、新たな収益源を得る土台を築くことができます。では、このパートナー制度に関連して話題になる「ベンダー登録」「ツール登録」とは何か、次の章で詳しく見ていきましょう。
ベンダー登録・ITツール登録とは? – IT導入補助金制度との関係
「ベンダー登録」および「ITツール登録」とは、国のIT導入補助金制度における手続きのことを指します。freee会計のパートナー企業となったITベンダーは、この補助金制度を活用して顧客にfreeeを導入支援することで、顧客の費用負担軽減と自社の案件獲得に結びつけることができます。
- IT導入支援事業者(ベンダー)登録:中小企業向けIT導入補助金で支援業務を行う事業者として、事務局に公式登録する手続きです。登録完了すると「IT導入支援事業者」(通称ベンダー)となり、補助金を活用したITツール導入支援が可能になります。この登録は法人だけでなく個人事業主でも可能で、実績がなくても申請できます(※法人格がない場合は複数社でのコンソーシアム形式で登録)。
- ITツール登録:IT導入補助金の対象として認めてもらうため、自社が提供・導入するソフトウェアやクラウドサービスを事務局に申請・登録する手続きです。ベンダー登録と同時に、まず1つ目のITツールを登録申請します。freee会計を扱う場合は、freee会計の各プランや関連サービスを「ITツール」として登録申請することになります。登録されたITツールのみが補助金対象となるため、提供予定のソフトは必ずこの登録が必要です。
要するに、freee会計のパートナー=IT導入支援事業者として、公的に認められたうえでfreee会計(というITツール)を補助金対象ツールとして登録する、という二段階のプロセスが「ベンダー登録・ツール登録」です。これらを完了すると、顧客企業はそのITベンダーからfreee会計を導入する際に国の補助金を受けられるようになり、結果として価格面の後押しによって導入成約率が高まることが期待できます。実際、人気のITツールの多くが補助金制度に対応しており、導入検討時に補助金が使えるかどうかが選定のポイントになるケースは増えています。したがってITベンダーにとって、freee会計パートナーとなりベンダー登録まで済ませることは競合他社との差別化にもつながるのです。
次に、このベンダー登録・ITツール登録の具体的な流れと準備すべきポイントを見ていきましょう。
ベンダー登録・ツール登録の具体的な流れと必要な準備
freee会計を扱うITベンダーがIT導入支援事業者登録(ベンダー登録)とITツール登録を行う際の標準的な手順と準備事項を解説します。
- 事前準備と要件確認: 自社が提供するITツール(freee会計)の内容が、補助金制度の要件を満たすことを確認します。例えば、会計ソフトの場合はインボイス制度対応など所定の機能要件を備えている必要があります。freee会計は2023年施行の適格請求書等保存方式(インボイス制度)に対応済みのソフトですので、この点はクリアしています。また、補助金の枠組みにおけるカテゴリー分類(会計・財務ソフトなのか、受発注管理なのか等)を確認し、該当する分類に登録できるよう準備します。freee会計のように複数のカテゴリーに該当する場合、可能であれば両方でツール登録申請するのがおすすめです。実際にfreee会計は「会計・財務ソフト」と「受発注ソフト」の両カテゴリーで登録されており、その方が事務局サイト上の検索露出が増え、より多くのユーザーの目に留まりやすくなります。
- gBizIDプライムの取得: 申請手続きには政府共通の法人IDであるgBizIDプライムが必要です。まだお持ちでない場合、取得には時間がかかることもあるため早めに申請します。
- IT導入補助金サイトで仮登録: 中小企業庁委託の事務局サイト上にて、IT導入支援事業者の仮登録を行います。公式サイトの「登録申請・手続きフロー」ページから「IT導入支援事業者 仮登録」ボタンをクリックし、必要情報を入力してください。仮登録が完了すると、登録したメールアドレス宛に本登録用の案内が届きます。
- 本登録(事業者情報・ITツール情報の入力): 案内に従い、IT事業者ポータルにログインして本登録を進めます。本登録では自社の事業者情報および提供するITツール情報を詳細に入力し、必要書類を添付します。添付が求められる代表的書類は以下のとおりです。
さらに申請フォーム上で、「ITツールの機能要件を満たしていることの説明」や「販売形態(自社開発か代理販売か)」、「ハードウェア提供の有無」等の詳細も入力します。ここが審査の要となる部分で、特にITツールの機能説明と価格説明については別途資料(PDF)を作成してアップロードする方式です。
- 機能説明資料・価格説明資料などの作成: ITツール登録申請の審査で重視されるのが、ツールの機能や仕様、価格体系を示すこれらの資料です。freee会計を登録する場合も例外ではなく、ポイントを押さえたドキュメント作成が必要です。
- 機能説明資料: ツールの正式名称、プラン名、開発元、画面キャプチャ、機能一覧・概要図、業務フロー図、利用方法など7項目を盛り込む決まりです。たとえばfreee会計なら、各プラン(ミニマム・ベーシック等)の違いや、経理業務をどのように効率化するかを図解し、さらにはインボイス対応機能についてスクリーンショット付きで明示するといった配慮が求められます。プロセス要件(補助金で定められた業務プロセス分類)を満たす機能がどれかも対応付けて記載します。
- 価格説明資料: ツールの価格体系を示す資料です。freee会計の場合、基本利用料(例:年間サブスクリプション費)とライセンス費用などが別立てになっています。そのため標準価格の内訳をわかりやすく整理し、顧客が2年間使った場合の総費用や、補助金適用後の自己負担見込み額なども示すと親切です。
- その他証憑: 上記以外に、ツールによってはインボイス制度対応状況の証拠資料(画面キャプチャや仕様書)や、クラウドサービスであればセキュリティに関する説明資料が求められる場合もあります。freee会計ではインボイス発行機能があるため、その画面例を提示することで審査担当者へのアピールになりました。
これらの資料作成は難易度が高く、事務局から修正指示が入るケースも多い部分です。freeeなど主要ソフトの場合、過去の採択事例が蓄積されていますので、可能であれば直近で実績のある行政書士にチェックや支援を依頼すると安心です。
- 事務局の審査・修正対応: 登録申請を送信すると、事務局にて審査が行われます。内容に不備や不足があれば、ポータル上で修正依頼が通知されますので速やかに対応しましょう。修正対応が遅れると登録完了までの期間が延びてしまいます。準備段階から入念に要件を満たせば短期間で完了する可能性も十分あります。
- 登録完了・提供開始: 事務局から「登録完了」の通知が届けば、晴れてIT導入支援事業者(ベンダー)として認定され、freee会計も補助金対象ITツールとして公開されます。ここからは、実際に顧客企業と連携して補助金の交付申請→契約・導入→事業実績報告という流れで案件を進めることができます。
以上が一連の流れです。ポイントをまとめると、「事前の準備(要件チェック・書類収集)」「緻密な資料作成」「迅速な修正対応」が成功のカギとなります。では、この登録を終えた後、実際にどのような案件獲得のチャンスが広がるのか、次で詳しく説明します。
登録による案件獲得チャンスと販路拡大のポイント
ITベンダーがfreee会計のパートナーとなり、さらにベンダー登録・ツール登録を完了すると、具体的にどのようにビジネス拡大につながるかを整理します。
- 価格面の優位性で導入提案がしやすくなる: 補助金対象ツールとして登録されたfreee会計を提案できることで、クライアント企業にとって導入費用の最大1/2〜2/3(補助枠により異なる)の補助が受けられるケースがあります。例えば通常100万円のシステム導入費用なら、補助金で50万円が賄われ実質負担50万円になる、といった具合です。顧客は安く導入でき、あなたは契約を取りやすくなるため、営業成約率アップが期待できます。他社製品とのコンペでも「補助金でお得になる」という点は強力な差別化ポイントとなり得ます。
- 公式サイトや市場でのリード獲得: 登録後、事務局の公開するITツール一覧に「freee会計(あなたの会社名)」という形で掲載されます。補助金を使ってITツール導入を検討している中小企業は、このツール検索サイトでソフトを探し、対応ベンダーであるあなたに問い合わせをしてくる可能性があります。特にfreee会計のような知名度の高いソフトは検索ニーズも高いため、自社サイト以外からの新規リード獲得チャネルとして活用できます。実際、freee会計は会計ソフト分野でユーザー数トップクラスの製品であり、2022年時点でIT導入支援事業者に登録している企業は5,000社以上にのぼっています。それだけ多くのIT事業者が補助金経由の販売促進に取り組んでいるのは、公式リスト掲載による販路拡大効果が当たり前のように見込めるからだと言えるでしょう。補助金事業の公式ページ以外にも、freee社のパートナー一覧ページに掲載されることで「freeeの公式パートナーとして選ばれる」機会も増え、そこから案件紹介や問い合わせが入ることも期待できます。
- 販売代理店ネットワーク拡大: 自社がソフト開発会社であり独自のITツールを持つ場合、補助金に対応させるメリットはさらに広がります。登録ツールになることで、他の販売パートナー(販売代理店系のIT導入支援事業者)があなたのツールをお客様に提案・販売してくれる可能性が出てきます。補助金対象ツールであれば代理店も提案しやすいため、自社単独ではリーチできない市場にも販路が拡大します。freee会計自体はfreee社のプロダクトですが、もしあなたがfreeeと組み合わせる自社開発の周辺ツールやサービスを持っているなら、それも追加でITツール登録しておくことで、freeeとセットで代理店展開してもらえるチャンスがあります。
- 付帯サービス収益の創出: 補助金を活用する際、ソフト導入支援サービスや関連ハードウェア購入も補助対象に含めることができます。たとえばfreee会計導入支援コンサルティングや初期設定代行、さらには必要なPCやスキャナ機器などをパッケージにして見積もるケースがあります。実際の例では、freee会計2年分の利用料約4.7万円に対し、導入サポート費20万円やPC代20万円を組み合わせ、総額45万円超のプロジェクトに仕立てて申請しています。その結果、補助金で約285,000円が賄われ、顧客の自己負担は約206,000円になりました。このように自社のコンサルティングやセット提案を含めることで、売上単価を上げつつ顧客負担感を和らげることが可能です。freee会計のパートナーであれば、会計ソフトの導入にとどまらず経理業務フローの見直し提案や他システム連携、ハード整備などをワンストップで提案できます。それらサービス料金も補助金対象になれば、顧客に喜ばれつつ自社の収益機会も増えるでしょう。
以上のように、ベンダー登録・ツール登録によって案件獲得の裾野が広がり、営業面・収益面で多くのメリットがあります。ただし留意点として、補助金申請から交付まではタイムラグがあり、顧客は一旦全額を支払った上で後日補助金を受け取る流れになります(交付決定〜支払いまでは数ヶ月程度)。そのため資金繰り計画などに不安を持つ顧客には事前に説明し、フォローすることも大切です。また、補助金スケジュールは年度ごとに公募時期が設定されていますので(2025年は3月末から新規申請開始)、タイミングを逃さず準備・提案するようにしましょう。
おわりに
freee会計のパートナー制度を活用し、さらにIT導入補助金のベンダー登録・ツール登録まで行うことで、ITベンダーは自社のサービス提供価値を高めながら新規案件獲得の扉を大きく開くことができます。実際に、多くのIT事業者がこの仕組みを取り入れ、補助金という追い風を受けて販路拡大や売上向上を実現しています。
他方、制度を活用する際は最新の公募要項や手引きに目を通し、要件やスケジュールを正しく押さえることが重要です。プロの知見を借りつつ万全の準備をすることが成功の近道でしょう。本記事の情報を参考に、ぜひ御社でもfreee会計パートナー制度への参加と補助金活用を前向きに検討し、中小企業のDX推進ニーズを取り込みながら事業成長を加速してください。きっと新たなビジネスチャンスが広がるはずです。
代表挨拶

行政書士藤原七海事務所の藤原です。
当事務所では補助金申請のサポートに力をいれております。
補助金申請のお手続きに何かお困りごとがある方はお気軽にご相談ください。
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