はじめに
酒販免許の申請では、「人的要件」が非常に重要な審査項目です。酒販免許の取得において、人的要件を満たしていないと許可が下りないことが多いため、あらかじめその内容を正しく理解しておくことが重要です。
この記事では、国税庁が公表している『酒類販売業免許の手引き』に記載された「酒税法第10条1号から8号関係の要件(人的要件)」のうち、審査実務上特に重視される6つの要件について、わかりやすく解説します。
人的要件とは?
酒販免許を取得する際には、「人的要件」に該当しないことが非常に重要です。人的要件とは、酒類販売免許を与えるにふさわしい人物であるかどうかを判断するための条件です。
人的要件とは、申請者が「法令を遵守するにふさわしい人物かどうか」を確認するための審査項目です。過去の処分歴・税務違反・犯罪歴などが対象となります。
国税庁の手引きでは、酒税法第10条の規定に基づいて6つの人的要件が定められており、以下のいずれかに該当する場合は免許が交付されません(または審査により不許可となる可能性が高くなります)。
人的要件の具体的な内容
要件①:免許取消から3年以内の者
過去に酒類の製造免許、販売業免許、アルコール事業法の許可を取消された者は、取消処分を受けた日から3年を経過するまで免許を取得することができません。
これは違反行為が重大だったと見なされるため、一定期間の経過を必要とする規定です。
取消法人の元役員だった者
酒類の製造・販売業免許またはアルコール事業法の許可を取消された法人において、その取消原因があった日以前1年以内に業務執行役員だった者も、取消日から3年を経過していない場合は申請できません。
過去に処分された法人に関与していた事実が重視されるという点に注意が必要です。
要件③:2年以内に税の滞納処分を受けた者
申請者が申請前2年以内に、国税または地方税の滞納処分(差押えなど)を受けたことがある場合、人的要件を満たさないと判断されます。
税務コンプライアンスが重視される酒販業において、納税義務の履行状況は非常に重要です。
要件④:税法違反で罰金や通告処分を受けた者
税務関連の法令違反により、罰金刑に処されたり、通告処分を受けた者は、それぞれ刑の執行を終えた日または通告履行日から3年を経過していなければなりません。
過去に処分歴がある場合、申請時点で「3年の経過」が必須です。
要件⑤:一定の法令違反で罰金刑を受けた者
以下の法律に関する違反により罰金刑を受けた者も、3年間は免許を取得できません:
- 二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(未成年者への酒類提供に関する部分)
- 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律
- 刑法(傷害、現場助勢、暴行、凶器準備集合、脅迫、背任など)
- 暴力行為等処罰に関する法律
これらに該当する場合、刑の執行終了日または執行を受けないことが確定した日から3年を経過していなければなりません。
要件⑥:禁錮以上の刑に処せられた者
禁錮以上の刑に処せられた者は、その執行を終えた日または執行を受けることがなくなった日から3年を経過していないと、免許を取得できません。
懲役刑だけでなく、執行猶予付きの禁錮刑も含まれるため注意が必要です。
まとめ
酒販免許の人的要件は、免許取得の可否に直結する極めて重要な審査基準です。
酒販免許の申請にあたっては、「人的要件」をクリアしていることが絶対条件です。過去に何らかの処分歴がある場合は、要件該当の有無と経過期間を確認することが不可欠です。
形式上は6つの審査ポイントですが、申請者個人だけでなく、関係する法人・役員・税務履歴までチェックされるため、慎重に対応する必要があります。
不安な点がある方は、あらかじめ専門家に相談してリスクを洗い出し、トラブルのない申請を目指しましょう。
代表挨拶

行政書士藤原七海事務所の藤原です。
当事務所では酒類販売業免許の取得に向けたサポートに力をいれております。
酒類販売業免許を取得したい方、何かお困りごとがある方はお気軽にご相談ください。
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