【2025年版】酒販免許の経営基礎要件とは?酒税法第10条第10号に基づく審査ポイントを解説

酒類販売業免許

はじめに

酒販免許を取得するためには、申請者が安定した経営基盤を有していることが求められます。これは酒税法第10条第10号に規定されており、いわゆる「経営基礎要件」として審査されます。

この記事では、国税庁が公表している『一般酒類小売業免許の手引』の内容を参考に、経営基礎要件の具体的な判断基準や注意点をわかりやすく解説します。

経営基礎要件とは?

酒税法第10条第10号では、申請者が「破産手続開始の決定を受けて復権を得ていない場合」や「その経営の基礎が薄弱であると認められる場合」に該当するときは、免許を付与しないことができる旨が定められています。

具体的には、申請者(申請者が法人のときはその役員(代表権を有する者に限ります。)又は主たる出資者を含みます。)が、①次のイ〜トに掲げる場合に該当しないかどうか、②次のチ及びリの要件を充足するかどうかで判断されます。

経営基礎要件の具体的内容

欠格事由に該当しないこと(イ〜ト)

イ:税目に関して国税又は地方税を滞納している場合

ロ:申請前1年以内に銀行取引停止処分を受けている場合

ハ:最終事業年度における確定した決算に基づく貸借対照表の繰越損失が資本等の額を上回っている場合

ここでいう「繰越損失」とは、貸借対照表の純資産の部における繰越利益剰余金(通常はマイナス表示)を指します。資本等の額(資本金、資本剰余金、利益剰余金の合計)よりもこの繰越損失の金額が大きい場合、財務基盤が著しく脆弱と判断され、経営基礎要件を満たさないとみなされます。

ニ:最終事業年度以前の3事業年度の全ての事業年度において資本等の額の20%を超える額の欠損を生じている場合

「欠損を生じている」とは、当期純損失が発生している状態を指します。各年度の当期純損失額が、その年度の資本等の額の20%を超えており、それが3年連続で続いている場合、慢性的な赤字体質であると判断され、免許の審査で不利となる可能性があります。

ホ:酒税に関係する法律に違反し、適当な処分を受けていない場合

ヘ:販売場の場所や設備が法令・条例に違反している場合

ト:申請販売場において、酒類の適正な販売管理体制が構築されていないと判断される場合

経営能力等に関する事項を満たすこと(チ・リ)

チ:経験その他から判断して、酒類の小売業を適正に営むために必要な知識及び能力を有し、独立して営業できるものと認められること

この要件は、申請者(申請者が法人の場合はその役員)及び申請販売場の責任者が、酒類の小売業を適正に営むために必要な知識及び能力を有し、独立して営業できるものと認められるかどうかによって判断されます。

 1.免許を受けている酒類の製造業者又は販売業者(薬用酒類の販売を除く)において、継続して3年以上直接従事した者、または調味食品等の販売業を3年以上継続して営業していた者、あるいはこれらの業務に従事した期間が相互に通算して3年以上である者。

    上記の経験がない場合には、次の代替条件を満たすことで補完される場合があります。

    他の業界での営業経験に加え、「酒類販売管理研修」の受講の有無等から、①酒類の特性に応じた商品管理上の知識及び経験、②酒税法上の記帳義務等を含む帳簿義務を適正に履行する知識及び能力等、酒類の小売業を適正に営むに十分な知識及び能力が備わっていることを確認できること。

     2.酒類業関連の従職員として相当期間従事して勤務した者又は酒類の製造業者(薬用酒類を除く)として直接営業に従事した者等で酒類に関する事業及び関連業界の実情に十分精通していると認められる者。

    リ:酒類を継続的に販売するために必要な資金、販売施設及び設備を有していること、又は必要な資金を有し免許を付与するまでに販売施設及び設備を有することが確実と認められること

    販売場や保管場所が未整備であったり、必要な設備(冷蔵・施錠など)が不足していると、免許取得が難しくなる場合があります。ただし、資金や設備の準備が免許付与時までに確実と認められる場合は、柔軟に判断されることがあります。

    よくある質問(FAQ)

    Q1. 赤字決算が続いていますが、申請できますか?
    → 単に赤字というだけで免許が下りないわけではありません。ただし、繰越損失が大きい場合や債務超過の状態にあると、経営の安定性に疑問が持たれます。そうした場合は、経営改善計画書や資金調達の見込みを示す資料の提出が求められることがあります。

    Q2. 個人事業主でも免許を取得できますか?
    → はい、個人事業主でも申請可能です。事業の規模よりも、継続して営業できる見込みがあるか、販売場や管理体制が整っているかが審査で重視されます。

    Q3. 経営経験がないと免許は取れませんか?
    → 経験がない場合でも、酒類販売管理研修の受講等により、免許取得が認められる場合があります。

    まとめ

    経営基礎要件は、単に財務状況を見るだけでなく、経営の継続性・信頼性・適法性・設備などを総合的に評価する審査項目です。

    少しでも不安がある場合は、事前に専門家と相談のうえで申請準備を進めることをおすすめします。


    代表挨拶

    藤原七海

    行政書士藤原七海事務所の藤原です。
    当事務所では酒類販売業免許の取得に向けたサポートに力をいれております。
    酒類販売業免許を取得したい方、何かお困りごとがある方はお気軽にご相談ください。

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