IT導入補助金の事業実施・実績報告ガイド|応用情報技術者×行政書士が徹底解説

IT導入補助金 事業実施・実績報告ガイド 補助金

IT導入補助金で採択・交付決定が出ると、ほっとひと息つきたくなりますよね。
ただ、実はその後の「事業実施」と「実績報告」が終わるまでがワンセットです。

  • 契約・納品・検収・支払い
  • 証憑(請求書や振込明細など)の整理
  • マイページから「実績報告」の提出

この流れに不備があると、採択されていても補助金が支払われない・減額されることがあります。
事務局も「事業が適切に行われていない場合や、実績報告が正しく行われなかった場合は交付できない」と明記しています。

この記事では、IT導入支援事業者としてのベンダー登録経験と、IT導入補助金の支援・採択実績が豊富な行政書士が、はじめての方でも迷わないように、

  • 事業実施~実績報告の全体像
  • 支払い方法別の「証憑チェック」
  • よくある不備と減額・不交付のリスク
  • 行政書士としてお手伝いできること

を、できるだけやさしい言葉で整理していきます。

1. IT導入補助金における「事業実施」とは?

1-1. 交付決定後にやるべきことのイメージ

交付決定が出たら、次のようなステップで事業を進めます。

  1. ITベンダーと正式な契約を結ぶ
  2. ITツールの納品・設定・稼働開始(役務提供の完了)
  3. 補助対象経費の支払い(銀行振込やクレジットカード等)
  4. それらを証明できる請求書・支払証憑・実施内容資料をそろえる
  5. 申請マイページから実績報告を入力・提出

この「3〜5」をきちんと揃えることが、実績報告の中心になります。

1-2. 実績報告とは?効果報告とどう違う?

実績報告は、「何を・いくらで・どのように導入したか」を事務局に説明する手続きです。

  • 申請時の計画どおりのITツール・サービスが導入されたか
  • 契約内容・金額が申請内容と一致しているか
  • 支払いが完了しているか(証憑で確認できるか)

といった点を、請求書や振込明細などの証憑を添付しながら報告します。

一方「効果報告」は、導入後の業務効率化や売上アップの効果を報告するもので、タイミングも内容も別物です。実績報告が承認されて初めて、補助金が振り込まれるという位置づけになります。

2. 実績報告の全体スケジュール

2-1. 期限は「事業実施期間」とセットで決まる

実績報告には、事業実施期間(契約〜支払完了までの期間)と実績報告期限が決められています。

  • 交付決定通知書
  • 事務局ホームページのスケジュール
  • 申請マイページのお知らせ

などに、締切日が明記されています。この期限を過ぎると、不交付や返還の対象となる可能性がありますので、まずは手帳やカレンダーに大きく書き込むことをおすすめします。

2-2. 逆算して「いつまでに何を終わらせるか」を決める

例えば、

  • 「〇月末までに納品完了」
  • 「その翌週までに検収・支払」
  • 「さらに2週間以内に証憑整理と実績報告入力」

というように、実績報告期限から逆算してマイルストーンを置いておくと安心です。
ITベンダー側の作業(請求書の発行・実施内容報告など)もあるので、早めに共有しておきましょう。

3. 実績報告で必ず必要になる3つの書類

事業実施・実績報告のチェックリスト資料では、特に不備が多い項目として次の3つが挙げられています。IT導入補助金_事業実施・実績報告の手引き

  1. 請求書
  2. 支払証憑(振込明細など)
  3. 役務の実施内容説明資料(サービス提供の場合)

それぞれ、どこをチェックされているのか整理しておきましょう。

3-1. 請求書:契約年数と単価がポイント

チェックリストでは、請求書について次のような点が強調されています。

  • サブスクリプションや保守等の契約年数が明記されているか
  • ITツールごとに単価・数量・年数・小計が分かるか
  • 交付申請時に登録した単価・数量と請求書の内容が一致しているか

もし請求書だけでは契約年数が分からない場合や、単価がシステム入力値とずれている場合は、
「請求・支払内訳シート」を別途作成・添付する必要があるとされています。

💡実務ポイント

  • 見積書→交付申請→請求書の内容がつながっているかを事前にチェック
  • ITベンダー側にも「契約年数の明記」「内訳の分かる請求書」を依頼しておく

3-2. 支払証憑:支払方法ごとに必要な書類が違う

支払方法によって必要な証憑が変わる点も、よくつまずくポイントです。

  • ATM振込
  • 金融機関窓口振込
  • インターネットバンキング振込
  • クレジットカード払い

それぞれ、

  • 取引明細(振込完了が分かるもの)
  • 通帳表紙・取引ページ
  • カード利用明細と引落口座情報

など、組み合わせて提出することが求められています。

3-3. 役務の実施内容説明資料

コンサルティングや設定作業など役務(サービス)を含む場合、
「どのような内容の役務が、どの期間・どの程度実施されたか」を説明する資料の添付が必要です。

  • 作業報告書
  • 議事録・報告書の抜粋
  • 画面キャプチャと簡単な説明

などで構いませんが、
「申請時に登録した役務内容と対応していること」が分かるようにまとめておきましょう。

4. 支払方法別のチェックポイント

ここからは、支払方法ごとのポイントをもう少し具体的に見ていきます。

4-1. ATM振込の場合

ATM振込では、主に以下が確認されます。IT導入補助金_事業実施・実績報告の手引き

  • 取引明細から振込が完了していること
  • 「支払金額」が明確に分かること
  • 「支払日」が記載されており、請求日より後の日付になっていること
  • 振込元が補助事業者であると確認できること

通帳を使わずATMだけで振り込んだ場合は、
利用明細をなくさないように、すぐスキャンや写真撮影して保存しておくと安心です。

4-2. 金融機関窓口振込の場合

窓口振込では、次の書類を組み合わせて提出するイメージです。

  • 振込依頼書(受領印つき)
  • 通帳表紙
  • 通帳の取引ページ

特に、

  • 受領印が押されているか
  • 口座名義人が補助事業者と一致しているか

を事務局が確認するため、代表者個人名義の口座からの支払いはNGとなるケースが多い点に注意が必要です。

4-3. インターネットバンキング振込の場合

インターネットバンキングの場合、画面キャプチャだけだと情報が不足しがちです。

  • 「送金済・振込完了」など、支払い完了が分かる画面
  • 振込日・金額・振込先が確認できる画面
  • 振込元(口座名義人)が分かる通帳表紙やWeb明細

を組み合わせて提出します。
「承認待ち」「作成中」の画面は支払い完了として認められないので注意しましょう。

4-4. クレジットカード払いの場合

クレジットカード払いでは、次の点がチェックされます。

  • 利用明細に支払金額・利用日・利用先が明記されていること
  • カード名義が補助事業者と一致していること
  • 引き落とし口座の名義も補助事業者と一致していること

法人カードを利用する場合は問題になりにくいですが、
個人カードで立替払いをしていると証明が難しく、補助対象外となるリスクがあります。

5. よくある不備とそのリスク

5-1. 契約年数の記載漏れ・単価の不一致

  • サブスク1年分なのに、請求書に「一式」とだけ書かれている
  • 値引き前後の金額が整理されておらず、システム入力値と合わない

といったケースは、「請求・支払内訳シート」の作成・再提出が必要になります。

5-2. 支払元が補助事業者になっていない

  • 代表者個人名義の口座から振り込んでしまった
  • グループ会社の別法人の口座から支払ってしまった

などの場合、「補助事業者自身が支払った」とは見なされず、不支給になるおそれがあります。

5-3. 実績報告期限を過ぎてしまう

締切を過ぎてしまうと、事務局の裁量で認められないケースが多く、
最悪の場合、補助金の全額不交付・返還につながる可能性があります。

6. 実績報告をスムーズに終わらせるための準備

6-1. フォルダとファイル名のルールを決めておく

  • 「01_契約関連」「02_請求書」「03_支払証憑」「04_実施報告」などのフォルダに分ける
  • ファイル名に「日付_取引先_内容」を入れる

といったルールを最初に決めておくと、
実績報告のときにどのファイルをどこに添付するかで迷いにくくなります。

6-2. ITベンダーとの役割分担を明確に

  • 「請求書の書き方」「役務の実施内容説明資料」はベンダー側
  • 「支払証憑の準備」「マイページ入力」は自社側

というように、あらかじめ「誰がどこまでやるか」を決めておくことが大切です。

7. 行政書士によるサポート内容

当事務所では、

  • 実績報告に必要な書類の整理・チェック
  • 支払方法別の証憑が足りているかの確認
  • マイページ入力内容と証憑の「つじつま」の確認
  • 必要に応じた「請求・支払内訳シート」作成サポート

などを、オンライン完結も含めてサポートしています。代表の藤原は応用情報技術者資格とITコンサル経験を持ち、技術的理解に裏付けられた補助金申請支援を得意としています。IT導入補助金に精通した専門家に依頼したい事業者様、ぜひ一度ご相談ください。

煩雑な手続きをプロに任せることで、ミスや不備を防ぎ、採択率向上と補助金活用の成功につながります。


代表挨拶

藤原七海

行政書士藤原七海事務所の藤原です。
当事務所では補助金申請のサポートに力をいれております。
補助金申請のお手続きに何かお困りごとがある方はお気軽にご相談ください。

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