IT導入支援事業者が押さえるべき2026年通常枠 – 補助額150〜450万円の仕組みとツール登録のポイント

IT導入支援事業者が押さえるべき2026年通常枠 – 補助額150〜450万円の仕組みとツール登録のポイント 補助金
IT導入支援事業者が押さえるべき2026年通常枠 – 補助額150〜450万円の仕組みとツール登録のポイント

※本記事は、2026年版「デジタル化・AI導入補助金(通常枠)」の交付規程等を踏まえ、IT導入支援事業者(ベンダー/導入パートナー)向けに実務の勘所を整理した解説です。公募要領・手続きサイトの最新情報により細部が更新されるため、最終判断は必ず公式情報でご確認ください。


1. なぜ2026通常枠は「150〜450万円」が重要なのか

2026通常枠は、補助額が 5万円〜150万円未満150万円〜450万円以下 の2レンジに分かれ、後者(150〜450万円)では「4プロセス以上」という機能要件が付く点が最大の特徴です。
支援事業者視点で言い換えると、150万円未満は“単一領域のSaaS導入”でも成立しやすい一方、150〜450万円は「複数プロセスをまたぐ業務設計+ツール構成+導入関連費の設計」が前提となり、提案力・設計力が差になる領域です。

さらに150万円以上は、単に高単価になるだけでなく、(事業者区分により例外はあるものの)賃上げ等の追加要件や表明が絡むため、営業・提案・実行の難易度が一段上がります。
裏を返すと、ここをパッケージ化できれば、案件単価・継続率・紹介率が上がりやすい「基幹DX案件」の入口になります。


2. 通常枠の骨格:補助額レンジと「プロセス」要件を正しく理解する

2-1. 補助額レンジと機能要件(超重要)

通常枠の補助額と要件は次の通りです。

  • 5万円〜150万円未満:機能要件「1プロセス以上」
  • 150万円〜450万円以下:機能要件「4プロセス以上」

ここでいう「プロセス」は、登録ソフトウェアがどの業務工程の生産性向上に資するかを分類した概念です(例:顧客対応・販売支援、決済・債権債務・資金回収、会計・財務・経営、汎用・自動化・分析ツール等)。

150〜450万円を狙う場合、“プロセス数を稼ぐために機能を足す”発想で組むと、導入が破綻します。支援事業者の腕の見せ所は、

  • 業務を横断する「一本のストーリー」に沿って、
  • 4プロセスが“自然に満たされる”構成
    に落とし込むことです。

2-2. 補助率:1/2が基本、条件で2/3の可能性

補助率は原則 1/2以内で、一定の賃金水準要件等により 2/3以内になる整理です。
提案時にありがちなミスは、「2/3前提」で話を進めてしまい、後で賃金要件が満たせず資金計画が崩れることです。賃金台帳等で事前判定し、補助率は「確度の高い前提」で提示するのが安全です。

2-3. 補助対象経費:提案で使える“3点セット”

通常枠の補助対象経費は大枠として、

  • ソフトウェア購入費
  • クラウド利用費(最大2年分)
  • 導入関連費
    です。

150〜450万円帯で勝つには、ソフトウェアの見栄えだけでなく、導入関連費を「定着のための投資」として正しく設計し、成果(生産性向上)に繋げる構成を作れるかが鍵です。


3. 支援事業者の役割:申請“作業”ではなく、成果に直結する「設計」を担う

通常枠は、申請者が自社課題に合うITツールを導入し、労働生産性向上を実現することが制度の中心です。
そのため支援事業者は、単に入力支援をする存在ではなく、次の役割が期待されます。

  1. 課題の構造化(現状→ボトルネック→改善レバー)
  2. プロセス設計(どの業務を対象にするか、どこまでを補助事業とするか)
  3. ツール構成設計(4プロセス以上を自然に満たすソフト+オプション)
  4. 導入関連費の設計(設定・研修・運用ルール・保守まで)
  5. 効果測定設計(申請時点からKPIを置き、効果報告に耐える)

特に150万円以上は、賃上げ要件や表明、3年計画の実行可能性が絡むため、「制度の型」を持たない事業者は受注しても炎上しやすい領域です。


4. 150〜450万円の“勝ち筋”設計:4プロセス以上を無理なく満たす提案テンプレ

ここからは、実務でそのまま使える「構成テンプレ」を提示します。プロセスは業種・会社規模で置き換え可能です。

4-1. テンプレA:販売〜請求〜会計の“王道”基幹DX(BtoB向け)

  • 顧客対応・販売支援:CRM/案件管理/見積
  • 決済・債権債務・資金回収:請求・入金消込
  • 会計・財務・経営:会計連携/部門別損益
  • 汎用・自動化・分析:BI、レポーティング、(生成AIで)要約・下書き等

ポイント
“4プロセスを満たすためにツールを足す”のではなく、受注〜入金〜月次締めという一連の流れを短縮し、工数削減と意思決定の早期化に繋げる設計にします。

4-2. テンプレB:問い合わせ対応+ナレッジ+販売の“顧客接点DX”(BtoC/EC/店舗)

  • 顧客対応・販売支援:問い合わせ管理、予約、顧客管理
  • 汎用・自動化・分析:AIチャット、FAQ生成・検索、分類
  • 決済・債権債務・資金回収:決済・請求(必要に応じて)
  • 会計・財務・経営:売上・粗利の可視化、会計連携

ポイント
AIは“単体導入”より、問い合わせの一次対応・分類・FAQ整備に組み込み、有人対応へエスカレーションする運用を作る方が定着しやすいです。

4-3. テンプレC:バックオフィス一体化(小規模でも効果が出やすい)

  • 会計・財務・経営:クラウド会計
  • 決済・債権債務・資金回収:請求・入金管理
  • 汎用・自動化・分析:AI-OCR、ワークフロー、RPA
  • (必要に応じて)顧客対応・販売支援:受注管理・顧客台帳

ポイント
「二重入力」「差戻し」「月末集中」の解消は生産性に直結し、効果測定(時間削減)がしやすいのが強みです。


5. ツール登録の実務ポイント:通常枠の案件化を加速する“登録品質”の作り方

5-1. 「プロセス×機能」の整合が最優先

登録・申請の肝は、ツールがどのプロセスに対応し、どの機能が生産性向上に資するかの説明です。登録手続の画面イメージでも、機能の概要説明や資料のページ番号等を入力する設計が示されています。
つまり、審査者が迷わないように、機能説明資料の構造(目次・該当ページ・画面キャプチャ)が整っているほど、差戻しが減ります。

おすすめ運用

  • 申請画面の入力項目と同じ順序で、機能説明資料を構成
  • “どの画面で、誰が、何分短縮されるか”までセットで説明
  • 4プロセス構成では、プロセスごとに「対象機能」を明確に切り分ける

5-2. パッケージ登録の扱い:切り分けを前提に商品設計する

2026の事前登録関連の整理では、ソフトウェアとオプションをパッケージ化した登録が対象外になり得るため、ソフトウェア/オプションを切り分けて個別登録する必要がある旨が示されています。
通常枠案件でも、見積・提案の段階から「ソフト」「オプション」「導入関連費」を分けて提示しておくと、後工程(登録・実績報告)で詰まりにくくなります。

5-3. AI機能の申告:曖昧に書かず“どの機能がAIか”を明確に

AI機能搭載ソフトは申告され、登録後に検索画面等でAI搭載の旨が表示される運用が示されています(生成AI/生成AI以外の定義も明確)。
「AIっぽい」説明は差戻し・追加資料要求の原因になります。AIが使われる画面、入力情報、出力、判断ロジック、運用上の注意を、資料で示せる状態にしてください。


6. 価格・役務の落とし穴:150〜450万円帯ほど差戻しが起きやすい

150〜450万円の提案は、ソフトの単価が上がるだけでなく、導入関連費(設定・研修・保守等)の比率も上がりやすく、価格説明の整合性が厳しく見られます。ここで崩れると、登録・申請・実績報告の全工程が遅れます。

6-1. 価格説明資料は「見積書不可」+整合性が命

価格説明資料は見積書ではなく、料金表やカタログなど、第三者が見ても価格を確認できる資料の提出が求められます。その際、税抜・税込の別を明記すること、上限金額が分かるように記載すること、申請内容の内訳と資料上の内訳が一致していることなどが要件として整理されています。したがって、差戻しを防ぐためには、申請画面で入力する内訳項目と価格説明資料の項目を、同じ並び・同じ表記に揃えて作成するのが有効です。

6-2. 高価格の場合の理由書:競合比較表を最初から持つ

市場平均を大幅に上回る場合、理由書提出を求められ、価格設定理由と類似ツール比較が必要です。
150〜450万円帯では、この要求が現実的に増えるため、比較表(機能・サポート範囲・セキュリティ・実績)をテンプレ化しておくと強いです。

6-3. 役務(導入関連費)の設計:内訳が曖昧だと詰む

役務は、内訳価格入力や資料整合が求められ、齟齬があると差戻しになります。
150〜450万円帯の提案では、役務が“盛られがち”なので、最初から商品設計(例:初期設定、データ移行、研修、運用支援、保守)を標準化してください。


7. 申請支援の実務:着手タイミング・証憑・効果報告まで見据える

通常枠は、交付申請前の着手が問題になりやすい類型です。申請者は原則として、補助事業に着手する前に申請し、交付決定後の実施期間内に発生・支払い完了した経費が対象となります。
支援事業者は、契約・発注・支払・納品・検収のタイミングを、顧客に“図解”で説明できるようにしておくと事故が減ります。

また、効果報告に備え、申請段階から「何を測るか」を決めるべきです。通常枠は労働生産性向上が前提のため、工数削減・処理時間短縮・ミス率低下などのKPIを設計し、導入後に追える形にしておくのが実務的です。

さらに注意したいのが、導入したITツールを導入日から1年未満で利用しなくなった場合など、交付決定取消しのリスクがあり得る点です(正当な理由がない場合)。
150〜450万円帯は導入規模が大きい分、ここでの事故は致命的です。定着設計(教育・運用ルール・責任者・更新体制)まで、提案の中に含めるべきです。


8. 150〜450万円帯で勝つための「提案パッケージ」例(そのまま商品化できます)

最後に、支援事業者が商品として持つと強い“型”を提示します。

パッケージ例:基幹DX 4プロセスパック(6か月伴走)

  • 現状業務ヒアリング(工数・ミス・遅延の棚卸し)
  • 4プロセス構成案の提示(テンプレA/B/Cを業種に合わせてカスタム)
  • ITツール(ソフト・オプション)+導入関連費(設定・研修・保守)の見積
  • 申請・実績報告の証憑管理ルールの導入
  • KPI設計(効果報告に耐える指標)
  • 研修/運用ルール/管理者向け手順書の整備

この“パック化”ができると、通常枠の150〜450万円帯は、単発受注ではなく継続収益(運用支援)につながりやすくなります。


9. まとめ:2026通常枠は「4プロセス設計 × 登録品質 × 定着設計」で差がつく

2026通常枠の150〜450万円帯は、単に高額な補助枠ではなく、複数プロセスを横断するDXを進めるための設計が求められる領域です。補助額区分(4プロセス要件) 、AI機能の申告・表示 、価格説明資料・理由書の整合 、役務内訳の整備等を先回りして“型”として持つ支援事業者が、2026の初動を勝ちやすくなります。


代表挨拶

藤原七海

行政書士藤原七海事務所の藤原です。
当事務所では補助金申請のサポートに力をいれております。
補助金申請のお手続きに何かお困りごとがある方はお気軽にご相談ください。

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