海外赴任や留学、国際学校への転入などが決まったとき、パスポートや航空券、住居探しといった大きな準備に目が向きがちですが、実は“直前に詰みやすい”のが医療系の書類です。特にお子さま連れの場合、渡航先での生活をスムーズに開始するために、母子手帳(母子健康手帳)の翻訳と予防接種記録(Immunization Record)の整備が非常に重要になります。
渡航先では、現地の学校・幼稚園・保育園の入学(入園)手続きで予防接種の証明が求められたり、サマーキャンプなどの集団活動に参加する際にワクチン履歴の提示が必須だったりします。また、現地の小児科(ファミリードクター)で初診を受けるとき、過去の接種履歴や既往歴が分からないと、接種漏れや重複接種が起きやすく、医療面のリスクにもつながります。企業向けの海外赴任支援サービスでも、赴任前に母子手帳や診断書等を英訳しておくことが推奨され、学校・幼稚園で提示を求められるケースがある旨が明記されています。
この記事では、専門家の実務目線で、次のことを体系的に解説します。
- 母子手帳翻訳が必要になる典型パターン
- まず最初に確認すべき「提出先要件」
- 翻訳対象ページの決め方(どこまで訳すべきか)
- 予防接種記録(Immunization Record)の作り方(最重要)
- 自己翻訳の可否、翻訳証明・医師署名の考え方
- つまずきポイントと、提出で通すためのチェックリスト
※本記事は一般的な情報提供です。提出要件は国・州・学校・受入機関によって異なります。最終判断は必ず提出先の案内に従ってください。
1. 母子手帳翻訳が必要になるのはどんなとき?
母子手帳翻訳のニーズは、ざっくり言うと 「子どもの健康情報を、海外の相手(学校・医療機関)が確認できる形にする」 ために発生します。特に頻度が高いのは次のシーンです。
1-1. 海外赴任に伴う「現地校・幼稚園・保育園」への入園・入学
海外では、入園・入学時にワクチン接種が必須条件になっている国や地域が多く、予防接種の証明書がないと許可が下りないことがあると案内している医療系サービスもあります。
この場合、母子手帳の「予防接種ページ」が実務上の中心になります。
1-2. サマーキャンプや課外活動(スポーツ・クラブ)への参加
短期の滞在でも、集団生活を伴うプログラムでは感染症対策として予防接種履歴の提出が求められることがあります。企業向けサービスでも、サマーキャンプ参加時に提示を求められることがあるとされています。
1-3. 海外での医療受診(小児科・救急・持病の継続治療)
現地で医療機関を受診する場面では、医師が「何を接種済みで、何が未接種か」を把握できないと、検査や接種計画が立てづらくなります。
英訳書類を準備しておくと安心、という趣旨が海外赴任支援の医療翻訳サービスでも説明されています。
1-4. 留学や単位認定で必要になる書類(※シラバス翻訳は別テーマ)
留学関連では健康情報だけでなく、学習関連の書類(シラバス等)の翻訳も必要になります。シラバスは単位認定で提出が必要になるといった説明があり、こちらは別記事として設計すると集客導線が作れます。
本記事は母子手帳・予防接種中心で進めます。
2. 最初にやるべきこと:提出先の「要件」を必ず取りに行く
母子手帳翻訳で最も多い失敗は、翻訳そのものよりも 「要件ズレ」 です。次のようなパターンが起きます。
- 「英訳が必要」と思って全部訳した → 実は学校指定フォームへの医師記入が必要だった
- 翻訳は作った → でも提出先は「医師署名入り」しか認めない
- 予防接種ページだけ訳した → 出生情報(生年月日・出生時記録)の提示も必要だった
- PDFで提出した → でも提出フォームのアップロード仕様が別(画像/指定書式)
こうした手戻りを避けるため、翻訳作業に着手する前に、以下をチェックしてください。
2-1. 確認項目(そのまま問い合わせテンプレになります)
- 必要書類の種類
- 母子手帳の翻訳で足りるのか
- 予防接種証明(Immunization Record)として別紙が必要か
- 学校指定フォーム(Immunization Form)があるか
- 提出範囲(ページ指定)
- 予防接種ページのみか
- 出生記録も必要か
- 健診記録(1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月等)も必要か
- アレルギー・既往歴欄も必要か
- 証明要件
- 翻訳証明書(翻訳者署名)
- 医師署名
- 公証(Notary)や認証が必要か(国によっては)
- 提出形式
- 紙/PDF/画像/オンラインフォーム
- 原本提出かコピーでよいか
- 期限
- 入学・入園手続きの締切
- 渡航前に必要なのか、渡航後でもよいのか
ここまで確認できれば、翻訳の方針がほぼ決まります。
3. どこを訳すべき?母子手帳の「翻訳範囲」を合理的に決める
「全部訳したほうが安心」と思われがちですが、母子手帳は情報量が多く、全部翻訳するとコストも納期も膨らみます。実務上は、相手が必要とする情報に絞り込むのが基本です。
3-1. 優先度A(ほぼ必須)
- 予防接種記録ページ
- 出生に関する記録(生年月日、出生時情報)(提出先指定がある場合)
企業向けの医療書類英訳サービスでも「予防接種記録(母子手帳)」を主要対象として掲げています。
また、母子手帳翻訳サービスの案内では、入園・入学に必要である旨が言及されています。
3-2. 優先度B(状況次第)
- 乳幼児健診の結果(発育、所見)
- 既往歴
- アレルギー情報
- 服薬情報(お薬手帳とは別扱いになることも)
3-3. 優先度C(通常不要)
- 育児日記・自治体案内ページなど、生活情報寄りのページ
結論:迷ったら「予防接種ページ+出生情報+重要な特記事項」 を押さえ、提出先から追加要求があったら追補するのが安全です。
4. 予防接種記録(Immunization Record)の作り方:ここが合否を分ける
母子手帳翻訳で“通る・通らない”を分けるのは、翻訳の丁寧さ以上に 「相手がチェックしやすい形に整えているか」 です。
海外では、母子手帳の様式そのものに馴染みがないため、提出側が親切に整理しておくほど審査がスムーズになります。
ここでおすすめなのが、母子手帳をただ翻訳するのではなく、予防接種履歴を一覧表(サマリー)として作ることです。
4-1. ステップ1:母子手帳の該当ページを撮影・スキャンしてデータ化
- スマホ撮影なら明るい場所、影が入らないように
- ページが歪まないように真正面から
- 文字が潰れない解像度で
- 可能ならPDFにまとめて管理(提出にも便利)
ここでの目的は2つです。
(1) 翻訳者や担当者が確認しやすい
(2) 提出先が「元の記録」を参照できる
4-2. ステップ2:接種履歴を「表」に起こす(最重要)
ExcelやGoogleスプレッドシートで、以下の列を作ります。
- Child’s Name(子どもの氏名)
- Date of Birth(生年月日)
- Vaccine(ワクチン名)
- Date Administered(接種日)
- Dose Number(何回目)
- Provider/Clinic(接種医療機関)※分かる範囲で
- Notes(備考:追加接種予定、抗体検査、既感染など)
この一覧があるだけで、学校や医師はチェックしやすくなります。
さらに、のちに学校指定フォームへ転記する際もミスが減ります。
4-3. ステップ3:日付は「西暦」に統一する(和暦のままだと詰む)
母子手帳は和暦記載が多く、海外の担当者は和暦を解釈できない場合があります。
YYYY-MM-DD のように統一しておくと、提出先での誤読が減ります。
- 例:令和5年4月1日 → 2023-04-01
4-4. ステップ4:ワクチン名は「一般的な英語表記」にそろえる
海外の学校や医療機関は「日本語のワクチン名」や「日本独自の略語」に弱いです。
英語表記をそろえる際は、最低限でも次の考え方を押さえます。
- 病名ベース(Measles / Rubella / Mumps / Varicella など)
- 予防接種の組み合わせ(MMRなど)
- 可能なら括弧で補足(例:Varicella(Chickenpox))
ここで表記ゆれがあると、「別のワクチンだと思われる」「回数が合わない」といった混乱が起きます。
表の段階で統一しておくのがポイントです。
4-5. ステップ5:「追加接種」「現地接種」を追記できるように設計する
海外では混合ワクチンが一般的な場合もあり、渡航後に追加接種が発生することがあります。
企業向けサービスでも、混合ワクチン等が多いこと、接種もれや重複接種を避けるため英訳書類の持参を勧めています。
そのため、一覧表は「日本での履歴」だけで閉じずに、
- 現地での追加接種日
- 現地の医療機関名
- 接種証明(署名やスタンプ)
を追記できる“運用表”にしておくと便利です。
5. 翻訳はどこまで必要?自己翻訳・専門家翻訳の判断基準
5-1. 自己翻訳でもよいケース
- 提出先が「英語での一覧(自己作成)でよい」と明確に言っている
- 現地小児科が母子手帳(日本語)を見ながら判断してくれる運用である
- 期限に余裕があり、追加要求に対応できる
ただし、自己翻訳は「通ればOK」ではなく、医療情報として誤りがないことが重要です。
特に、日付・回数・ワクチン名の誤りはリスクが高いです。
5-2. 専門家翻訳を検討したほうがよいケース
- 入園・入学の可否に直結する
- 学校が英訳を必須としている
- 「翻訳証明」「医師署名」などの要件がある
- ビザ申請・保険請求など、審査が厳格な用途に使う
医療系書類は、単に文章を訳すのではなく、専門用語の正確さと形式の整合性が重視されます。
企業向けの英訳サービスでも、医師署名がないと現地で有効と認められないことがある旨が説明されています。
(ただし、あなたのサービス設計として「医師署名」を扱わない方針であれば、その前提で“翻訳証明書の発行”など別の打ち手を用意するのが現実的です。)
6. 「翻訳証明」「医師署名」は必要?考え方を整理する
ここは誤解が多いので、整理しておきます。
- 翻訳証明(Translator’s Certificate)
翻訳者が「原文に忠実に翻訳した」ことを証明する書面。提出先によっては求められます。 - 医師署名(Physician’s Signature)
医師が「この内容が医学的に確認された」と署名するもの。学校や機関が「医師記入・署名」を求める場合があります。企業向けサービスでは医師署名付きで提供すると説明されています。
結論としては、提出先が何を求めているかがすべてです。
「翻訳証明で足りる」場合もあれば、「医師署名のあるフォームでないと不可」の場合もあります。
7. よくある失敗と、提出で通すためのチェックリスト
7-1. よくある失敗
- 和暦のまま提出して読めない
- ワクチン名の英語表記が統一されていない
- 予防接種の「回数」が分かりづらい(1回目/2回目が曖昧)
- PDFにしたら表が崩れて読めない
- 学校指定フォームが後から見つかり、作り直しになった
- 期限ギリギリで追加接種が間に合わない
7-2. 提出前チェックリスト(実務用)
- 提出先の指定(フォーム、証明、期限)を確認した
- 母子手帳の必要ページをデータ化した(画像orPDF)
- 予防接種履歴を一覧表にした(Immunization Record)
- 日付は西暦で統一した(YYYY-MM-DD)
- ワクチン名の英語表記を統一した
- 提出形式(PDF/画像/オンライン)で最終確認した
- 追加接種がある場合の追補提出可否を確認した
8. まとめ:母子手帳翻訳は「要件確認×一覧化」で勝てる
母子手帳翻訳で一番大事なのは、「全部訳すこと」ではなく、
- 提出先要件を先に確定し
- 予防接種記録を一覧化(Immunization Record)し
- 必要に応じて翻訳・証明を付けて
- 相手がチェックしやすい体裁で提出する
という流れを守ることです。
企業向けの海外赴任支援でも、母子手帳(予防接種記録)・健康診断結果・診断書などを英訳しておくことが、現地の医療受診や学校手続きで有用であると説明されています。
また、母子手帳翻訳サービスの案内でも、海外の入園・入学に備えて事前準備を勧めています。
つまり、需要の中心は「翻訳そのもの」よりも、“渡航先で困らないように医療情報を整える”ところにあります。
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