【一般事業主行動計画2025】補助金申請の必須要件を行政書士が解説|制度の基本・作り方・注意点も紹介

補助金

一般事業主行動計画とは?

「一般事業主行動計画」とは、企業が従業員の仕事と育児の両立を支援し、働きやすい職場環境を整備するために策定・届出・公表する中期的な行動計画です。 この制度は、次世代育成支援対策推進法に基づいて運用されており、企業規模に応じて対応が定められています。

■義務の区分

企業規模対応内容
従業員101人以上行動計画の策定・届出・公表・社内周知が義務
従業員100人以下同様の対応が努力義務(制度の対象外ではない)

なぜ今、注目されているのか?【補助金との関係】

令和6年度補正予算で創設された補助金をはじめ、近年の国の補助金制度では、「一般事業主行動計画の策定・公表」が申請時点での必須要件として定められているものが増えています。

■代表的な補助金と要件

補助金名要件内容
中小企業新事業進出補助金補助金の申請時点で、行動計画を策定・公表していることが必須要件
ものづくり補助金従業員数21人以上の企業は、計画の策定・公表が申請時点での必須要件

今後の補助金公募に備える意味でも、計画を早期に整備しておくことが重要です。

行動計画の作り方【厚労省公式「5ステップ」】

厚生労働省は、一般事業主行動計画の策定手順を以下の5ステップに整理しています。

STEP1:自社の現状や従業員のニーズを把握しましょう

行動計画が実効性あるものとなるためには、仕事と育児の両立にあたって障害となっている要因や、従業員のニーズを丁寧に把握することが重要です。

以下のような観点で、過去の実績や社員アンケートなどを通じて分析を行いましょう。

  • 妊娠・出産を機に退職した社員がどれくらいいるか
  • 子育て中の社員の数・属性(男女・年齢)
  • 育児休業や短時間勤務制度の利用状況と満足度
  • ワーク・ライフ・バランス支援制度の認知度・利用意向
  • 「仕事と育児の両立で困っていること」についての自由回答
  • 今後望まれる制度や柔軟な働き方の希望(制度要望)

従業員の生の声を含めて課題を浮き彫りにすることが、計画の説得力や実効性につながります

STEP2:ステップ1を踏まえて行動計画を策定しましょう

STEP1で明らかになった課題をもとに、次の内容を検討・決定していきます。

  • 課題に優先順位をつける: 課題が多岐にわたる場合には、実現性や重要性を考慮し、優先順位を定めて取り組みの焦点を絞りましょう。
  • 計画期間を決める: 多くの企業では1年から3年の範囲で計画期間を設定しています。事業の見通しや人事制度の改訂スケジュール等を考慮して決めるとよいでしょう。
  • 目標を決める: 育児休業取得率、所定外労働の削減、制度利用率の向上など、自社の実情に即した数値目標を設定しましょう。定量的な目標(例:育休取得率を男性○%・女性△%に)を掲げることで、達成状況を測りやすくなります。

※2025年4月1日から、従業員101人以上の企業には育児休業等の取得状況や労働時間の状況に係る数値目標の設定が義務付けられます。

  • 目標達成のための対策を立てる: 制度の導入や改善、利用促進のための社内研修、柔軟な勤務制度の導入など、目標を達成するための実行可能な対策を盛り込みましょう。

STEP3:行動計画を公表し、従業員への周知を図りましょう

行動計画を策定したら、策定日からおおむね3か月以内に、以下の2点を実施する必要があります。

  • 一般への公表: 「両立支援のひろば」への掲載や、自社ホームページ、県の広報紙、日刊紙などへの掲載が可能です。 インターネット環境がない企業では、事務所への掲示など、外部の求めに応じて閲覧できる方法をとれば差し支えありません。
  • 従業員への周知: 事業所内への掲示、社内イントラネット、従業員への配布やメール送信などが推奨されています。

認定制度の申請等を予定している場合は、公表・周知の日付が分かる書類(スクリーンショットや印刷物等)を保存しておくと安心です。

STEP4:行動計画を策定した旨を労働局に届出ましょう

策定日からおおむね3か月以内に、「一般事業主行動計画策定・変更届」(様式第1号)を、所轄の都道府県労働局雇用環境・均等部(室)へ提出します。

提出方法は、郵送・持参・電子申請のいずれでも可能です。 ※行動計画そのものの添付は不要です。

STEP5:行動計画を実施しましょう

策定した行動計画に掲げた対策を着実に実施し、目標の達成に向けて取り組みを進めましょう。計画期間中は定期的に進捗を確認し、必要に応じて見直しを行うことも重要です。

👉 厚労省公式ページ:https://www.mhlw.go.jp/general/seido/koyou/jisedai/

よくある注意点

  • 目標が実態と乖離している
     現実的に達成困難な数値や、業務内容と関係の薄い目標を設定してしまうと、形骸化のリスクが高まります。
  • 社内への周知が不十分
     届出や公表はしていても、社員に内容が伝わっておらず、制度の利用促進や職場改善につながらないことがあります。掲示や説明会の実施が重要です。
  • 公表方法が不適切/日付の証明ができない
     両立支援のひろばに掲載せず、HPや紙掲示のみの場合、申請時に「公表済み」と認められないケースがあります。スクリーンショットや印刷で記録を残しましょう。
  • 補助金要件に合致しない記載内容
     補助金の対象項目(たとえば「数値目標の有無」など)に対応していない行動計画だと、要件を満たしていても審査で不利になる可能性があります。
  • 変更・見直しが行われていない
     計画期間中に状況が変わっても、目標や取組を放置してしまうと、制度の信用を損ねる恐れがあります。定期的な振り返り・更新が推奨されています。

行政書士による支援内容

行政書士は以下のような形で、制度対応を支援することが可能です。

  • 現状把握・課題抽出のためのヒアリング支援
  • 行動計画の構成・表現の整備
  • 労働局届出様式の確認と準備
  • 公表・社内周知方法のアドバイス
  • 補助金申請と整合性のとれた計画設計支援

まとめ:制度対応から成長戦略へ

「一般事業主行動計画」は、義務や制度対応にとどまらず、企業のブランド力・人材確保・補助金活用にも直結する重要なツールです。

将来の補助金申請を見据えて、今のうちから整備を進めておくことが、確実な備えとなります。

行政書士による初回相談は無料で承っております。お気軽にご相談ください。


代表挨拶

藤原七海

行政書士藤原七海事務所の藤原です。
当事務所では補助金申請のサポートに力をいれております。
補助金申請のお手続きに何かお困りごとがある方はお気軽にご相談ください。

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