小規模事業者持続化補助金<一般型>は、小規模な事業者が販路開拓や生産性向上の取組みに活用できる、国の代表的な補助金制度です。採択されれば補助対象経費の2/3(一部条件下では3/4)について上限50万円まで補助され、(※インボイス発行事業者や賃上げ実施事業者等の特例を組み合わせれば最大250万円の補助額となります。)販路拡大のための広告や設備投資などに大きな後押しとなる一方、その採択率は決して高くありません。
例えば2024年度第16回公募では7,131件の申請中2,741件が採択(採択率約37%)にとどまりました。「必要書類をきちんと提出したのに不採択だった…」という声も珍しくなく、初めて申請する方にとって不安が大きいのも無理はありません。
そこで本記事では、2025年7月時点の最新公募要領(第18回公募<一般型・通常枠>・第3版)に基づき、初心者向けに不採択になりやすい典型ミスや申請時の注意点、そして行政書士に依頼するメリットを解説します。専門用語はできるだけ避け、ポイントをわかりやすく整理しました。正確かつ実務的なアドバイスを参考に、補助金申請の不安を解消しましょう。
よくある不採択の原因(初心者が陥りやすいミス)
では、よくある不採択の原因について説明していきます。
応募要件の誤認(対象外の事業者の申請)
小規模事業者持続化補助金には、応募できる事業者の条件が定められています。
まず「小規模事業者」に該当するかを確認しましょう。この補助金でいう「小規模事業者」とは法律で定められた範囲で、例えば商業・サービス業(娯楽業等を除く)なら常時使用する従業員数5人以下、製造業その他・宿泊業娯楽業では20人以下が該当します(役員やパートタイムを除く常勤従業員数)。つまり常時従業員が6人を超える飲食店や、21人以上の製造業者などは対象外となり、申請しても受理されません。
また過去に本補助金の採択を受けた事業者も一定期間は再申請できません。具体的には、以前の公募回で採択・事業実施した場合、その事業終了月の翌月から1年間が経過し、所定の報告書(様式第14号)を提出済みでなければ新たに申請できません。自社が要件を満たすかどうか(従業員規模や営利法人/個人事業か、直近の採択歴、事業の種類など)は必ず最新の公募要領で確認しましょう。
要件を満たさない場合、申請しても受付時点で弾かれてしまいます。そのほか、公序良俗に反する事業や他の公的補助と重複する事業なども補助対象外とされます。応募資格をよく確認し、対象外のケースに該当しないことを事前にチェックしてください。
補助対象外の経費計上(経費の使い方ミス)
補助の対象となる経費(補助対象経費)は、公募要領であらかじめ定められた科目に限られます。現在の一般型では以下の8種類が補助対象経費として挙げられています(この範囲外の支出は補助の対象になりません)。
① 機械装置等費
② 広報費
③ ウェブサイト関連費
④ 展示会等出展費(オンライン展示会・商談会等を含む)
⑤ 旅費
⑥ 新商品開発費
⑦ 借料
⑧ 委託・外注費
上記のいずれにも当てはまらない経費は補助金の対象になりません。例えばウェブサイト関連費のみでの申請は不可で、ウェブサイト費用は補助金申請額の4分の1(最大50万円)が当経費の上限と定められています。そのため自社ホームページの制作費だけで申請しても採択されませんので注意が必要です。
また、補助対象経費であっても事業実施期間外の支出は認められません。補助事業は交付決定を受けてから開始し、指定の実施期間内に完了する必要があります。発注や支払いが期間中でも、実際の施策実施が期間をはみ出す場合、その経費は補助対象外となってしまいます。必ず交付決定日以降に発生し、事業期間中に支払いが完了する経費だけが対象になる点に注意しましょう。スケジュールに合わない経費計画は不採択の原因となるため避けてください。
申請書類の不備・様式違反
持続化補助金の申請には、所定の様式による複数の書類提出が求められます。一つでも記入漏れや書類不足があると、その時点で不採択となります。実際によくある不備として、次のようなケースが報告されています:
- 添付ファイルの形式違い(指定されたファイル形式ではない)
- 添付ファイルにパスワードを設定したまま提出した(開封できず審査不可)
- 書類間で会社名や代表者名の表記に不一致がある
- 提出書類の一部が未記入のまま(空欄の様式をそのまま提出してしまった)
- 必須添付の決算書類で貸借対照表と損益計算書の片方しか提出していない
- 誓約・同意書(様式2)への代表者署名漏れがある
これらは申請書類の不備理由の大半(約90%)を占めるとも言われています。書類の記載漏れ(特に日付や署名の欠如)や旧様式での提出は命取りです。提出前に全ての書類が揃っているか、記入漏れがないか厳重にチェックしましょう。また、公募要領で指定された最新の様式を使わなかった場合も受理されません。必ず最新の公募要領から様式をダウンロードして作成し、事務局が公開している提出用チェックリストも活用して不備・不足がないか確認してください。
初心者が申請前に特に気を付けるべきポイント
次に初心者が申請前に特に気を付けるポイントについて説明していきます。
事業計画書は具体的かつ制度の趣旨に沿って書く
補助金申請では、自社の経営計画書・補助事業計画書(様式2・3)に「何を(What)・誰に(Who)・どうやって(How)」取り組むのかを明確に記載することが肝心です。
例えば「より多くの人に知ってもらうためブランド力を高める」といった抽象的な表現だけでは、審査側に具体像が伝わりません。「誰に何をどうするのか」をはっきり書きましょう(例:「30代女性向けECサイトを開設して新規顧客を開拓」等)。
また本補助金の目的(小規模事業者の販路開拓や売上向上)に合致しているかも重要な視点です。この補助金がなぜ創設されたのか、国や自治体が期待する効果は何かを踏まえ、なぜ今その取組みが必要なのかを説得力ある形で示してください。審査員は必ずしも業界の専門家ではありません。専門用語はできるだけ避け、第三者が読んでもすぐ理解できるよう平易な表現を心がけましょう。
GビズIDを早期に取得し電子申請を活用する
持続化補助金<一般型>はオンライン申請(Jグランツ)で行われます。電子申請を行うには、事前にgBizIDプライムのアカウント取得が必要です。このアカウント発行には申請から取得まで通常3~4週間程度かかります。公募開始後に慌てて申請しても間に合わない可能性があるため、時間に余裕をもって早めにgBizID登録手続きを済ませましょう。
商工会・商工会議所で「事業支援計画書」を発行してもらう
持続化補助金<一般型>では、自社だけで完結できない書類があります。応募時に必須となる事業支援計画書(様式4)は、地域の商工会または商工会議所(いずれも経営指導等の支援機関)に発行してもらう書類です。あなたの事業計画について支援機関が内容を確認し「支援する意思」を示すもので、これがないと申請を受け付けてもらえません。発行には担当者との面談や計画内容の事前確認が必要で、即日発行は困難です。実際、第18回公募(2025年度)では申請締切日(11月28日)の10日前(11月18日)が事業支援計画書の発行依頼締切と定められています。この締切を過ぎるといかなる理由があっても様式4は発行してもらえません。こうした日程を踏まえ、遅くとも締切の2~3週間前には支援機関に相談し、発行依頼を済ませておくことを強くお勧めします。公式にも「様式4の取得までに日数を要するのでお早めのご準備を」と案内されています。発行には時間がかかる場合がありますので、十分な余裕をもって依頼することが肝心です。
スケジュール管理と事前準備の徹底
補助金申請は想像以上に準備に時間と労力がかかるものです。公募要領の熟読から事業計画書(様式2・3)の作成、見積書の取り寄せ、必要書類(法人の場合は決算書類一式等)の収集、商工会議所との調整、そして電子申請システムへの入力まで、やるべきことは多岐にわたります。そのため、スケジュールにはできるだけ余裕を持ち、逆算して段取りしましょう。
例えば「○月○日までに計画書ドラフト完成」「○日までに見積取得」「○日までに商工会議所に相談」といった具合に、主要タスクごとに自社内締切を設定すると効果的です。提出期限ギリギリでは支援機関も窓口が混雑しがちですし、締切直前になって書類不備に気付いてももはや修正はできません。可能であれば第三者に書類をチェックしてもらい、見落としや説明不足がないか確認すると良いでしょう。実際、専門家など社外の人に計画書を見てもらうことで、自社では気付きにくい不明瞭な箇所が発見できるとも言われています。最低限、提出物は締切の数日前にはすべて揃え、最後に漏れがないか最終確認する時間を確保してください。「小さなミスで不採択」という事態を防ぐためにも、早め早めの準備が何より大切です。
行政書士に依頼するメリット(プロのサポートで安心申請)
- 専門的アドバイスによる採択率アップ – 行政書士は補助金制度の趣旨や審査のポイントを熟知しています。単に書類を書くだけでなく、「どうすれば審査員に響く計画書になるか」「制度の意図に沿った内容になっているか」といった観点でアドバイスを受けられます。自社では陥りがちな主観的なPRも、第三者のプロの視点で見れば「何を強みとして打ち出すべきか」「競合と差別化できるポイントは何か」が明確になるでしょう。特に持続化補助金では外部有識者(必ずしも業界の専門家ではない人)が審査を行うため、業界知識がない人でも理解できる資料づくりが求められます。プロの目線を取り入れることで、誰が読んでも伝わる計画書にブラッシュアップできるはずです。
- 書類不備の防止とミスの予防 – 前述の通り、補助金申請は一発勝負であり提出後の修正はできません。行政書士に依頼すれば、必要書類が過不足なく揃っているか、書式のミスはないか、といった事前チェックを徹底してくれます。自社だけでは見逃しがちな細部までプロが目を光らせ、不備や漏れを未然に防ぐことができます。実際、申請書の記載内容について専門家や第三者に確認してもらうことで「伝わりにくい箇所」に気付ける場合もあります。このようなプロのダブルチェックにより、ケアレスミスによる不採択のリスクを格段に減らせるでしょう。
- 書類作成・手続きの負担軽減 – 本業の合間に膨大な申請書類を作成するのは非常に大変です。忙しくて文章化する時間がないという方でも、行政書士に依頼すればヒアリングに基づき書類作成を代行または伴走サポートしてもらえます。専門家に任せることで、経営者は本来の事業に専念でき、心理的負担も軽減されます。「自分での作成が難しい場合は、専門家のサポートを受けて、確実・スピーディーに補助金を受け取りましょう」との指摘もあるほどです。書類提出後のフォローや、採択後の交付申請・実績報告といった手続きについても助言が得られる場合があり、初めての方でも安心して補助事業を遂行できます。
- 加点項目の戦略的な取得サポート – 行政書士は公募要領を読み込んでいるため、採択率を上げるための加点要素について的確な戦略を提案できます。持続化補助金では政策的観点からの各種加点が用意されており、条件に合えば最大2種類まで適用可能です(※加点項目の内容や数は公募回によって変更されます)。初心者が見落としがちなこれらの要件も、行政書士であれば最新情報を踏まえて「どの加点を狙えるか」を的確に判断し、必要な書類準備までサポートしてくれます。限られた予算内で他社と競う以上、少しでも有利になるよう戦略的に取り組める点でもプロの知恵を借りるメリットは大きいでしょう。
初めての補助金申請でも、事前にポイントを押さえて準備すれば決して難しくありません。本記事で挙げた注意点を参考に、ぜひ余裕を持ったスケジュールで進めてみてください。「申請してみたいけれど、この内容で採択されるか心配」「書類作成に自信がない…」という方は、ぜひ行政書士藤原七海事務所にご相談ください。あなたの熱意や事業計画を「審査員に伝わる形」に整え、採択の可能性を高めるお手伝いをいたします。お気軽にお問い合わせいただき、安心して補助金獲得への第一歩を踏み出しましょう。
代表挨拶

行政書士藤原七海事務所の藤原です。
当事務所では補助金申請のサポートに力をいれております。
補助金申請のお手続きに何かお困りごとがある方はお気軽にご相談ください。
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